夢衣 [衣]
一時ななとのお話を離れ、私ごとのお話・・・・
今、不況と震災・・・先の見えない不安
誰もが少しでも抱えている今
不謹慎承知で、書きとめたいと
着物仕立て業と聞いて、思いつくものは何ですか?
「着物? まったく着ないし、洋服の方が手軽だし・・・」
「持っているけど着ないしね!」
「高いし縁がない物かも」
「昔のもの・・・・」
その着物にあこがれたのは、いつのことだったでしょか
幼い時から着物が好きで祝日には着物着せてと言っていました。
17の時初めて反物から選んで仕立て頂いた着物は光沢のあるオレンジの着物
身にまとうときの衣擦れの音と
まるで生きているかの空をまう布に不思議と魅せられてしまって・・・・
こんな着物仕立てられたらと
自分でもなぜと思うほど着物が好きで
着ることよりも仕立てたり人に着付けさせて頂くことの方が嬉しく
呉服屋さんの仕立てもいたしますが
お客様の着ている姿見ることは、叶わず
縫い出伝(お客様の寸法)どうりにお仕立てしてお納めするそれで終わり
ふと・・・・虚しさを感じ
そんなとき日本舞踊を習ってる方とお知り合いになり
自分で着物きて動いてみたら今までと違う何か分かるかも・・・・
と、安易な気持ちで習い、踊ることより着物ばかり観ていて(-_-;)
そんなおり、日本舞踊の本元様からご依頼をお受けして
今回で、3回目となり
今までのお仕立てのご依頼の中でも時間的にも
私生活でもとても大変な上、先日の震災も重なり無我夢中で
それでも一枚一枚向き合って仕立て上げ
舞台で皆様が着ている着物ばかいり気になり・・・・
舞を、重視してみなかったのです(^^ゞ
仕立ては、着物にとって裏のお仕事で
織り屋、染め物などは、名前を残したり評価されたりします。
一枚の着物となるまでには、それはそれは多くの方の手で
お蚕さんから糸をつむぎ、整形し・・・幾つもの工程をへて、反物になり
最後仕立てになるのですが、
お着物の仕立てお願いするとき、仕立てる方を、指定なさる方は無いに等しく
「どこどこの呉服やで買ったのよ」
で、格が決められている、ブランドなのでしょうね。
それでも、たまに名指しで仕立てを頂くとそれはとても光栄なのです。
舞台の後のお食事の席でのこと
乾杯のとき
皆様の前で名指しで労のねぎらって下さったのです。
そのときは、ボー然としてしまい、ただただ頭を下げていました。
数10年・・・
好きだから出来たことかも知れませんが、犠牲にしてきたものも大きく
一つの物を手に入れることは、簡単にはいかないこと
そして、運と人との巡り合わせがなかったら、
今、この仕事をしているかどうか・・・・
いつも人に助けられてきました
今回も、回りの方の手助けがなかったらなしえなかったことと
それには、これからももっと納得して頂ける仕立てをして頂ける仕事して行くことだけしか
着物・・・・
古いけど新しい
祖母の遺品の背紋帳と糸巻き
不思議な縁で、私の手元にあります。